ペットショップの売れ残りの犬の飼い方@うちのワンコは15,000円だった
我が家の愛犬はペットショップの売れ残りです。
ペットショップなど生体販売をしていると必ず売れ残りでセールになっているちょっと大きなワンコを見かけます。今回は、このようなワンちゃん達のお迎えについてお話しします。
15,000円の愛犬
最近では、愛犬家の皆さんの意識が非常に高く、ワンコをお迎えする方法でペットショップは如何なものか?という風潮になってきています。今回は、保護犬やブリーダーさんから譲り受けるべきだ!というお話ではありません。
我が家の愛犬はペットショップで「SALE!15000円!」というプレートを掲げられて販売されていました。
都内の大きな店舗で、たくさんの子犬がきらびやかなガラスケースに入っています。その広い店内の一番端っこ…国道の車の音がうるさい端っこのサークルに入っていました。
毛布も何もなく、トイレトレーの上にぎゅっと丸まって上目遣いで様子を伺っています。初めて会ったときは、怯えているのだと思いました。今思うと、「どうせ遊んでもくれないんでしょ」と諦めていたのだと感じます。
私たちは、迷いました。
それは、犬を再び飼うにはブランクがあったこと、夫婦で生活し始めたばかりなので世話ができるか話し合っていない、近隣の病院やサロン、ショップなどの情報を何も知らないなど、「私たちが迎え入れる準備をしていない」ことからの迷いです。
その間、ペットショップのスタッフは驚く行動に出ます。
奥から次から次に子犬を出してきたのです。白いシュナウザー、チワワ、ジャックラッセルテリア…小さくて柔らかい子犬を次々に抱っこするよう勧めてきます。
この売れ残りのワンコは、こうやって引き合いにされてずっと我慢してきたと思うといてもたってもいられなくなりました。
ペットショップで売れ残っている犬
ペットショップやホームセンターで売れ残っているワンちゃんたちのほとんどは、6ヶ月以上の可愛らしい子です。
残っている理由や価格が下がっている理由を聞くと「毛色が濃い」「柄が綺麗ではない」などのびっくりする回答が返ってくることがあります。
噛みグセがあるという説明を受けることもあります。子犬は歯が痒くなって噛んだり、お口で遊ぶのが好きな時期でもありますよね。
ペットショップでは、血統や見た目、年齢などで区別されています。犬は飼い主と信頼関係を結び、良い犬に育っていきます。それは、とても時間がかかり根気が必要です。
良い犬とはどんな犬でしょうか?そう考えた時に「可愛い」「毛が綺麗」などが1番の条件で選ぶ人が多ければ、これから先もずっと、売れ残りコーナーは無くならないでしょう。
同情で買うということ
ここで、売れ残りのワンコを積極的に飼いましょう、とはおすすめできません。
同情して衝動買いをしてしまうというケースも多くあります。一方、全て覚悟して、病気だろうと規格外だろうと愛情を持って受け入れた飼い主さんはたくさんいます。
売れ残りのワンちゃんは、しつけや体のメンテナンスが必要になることが多々あります。それらの情報は、インターネットで検索するだけでは解決しないことが多くあります。
シッターさんや獣医さんの力を借りなければいけないことも多く、お金も時間もかかります。衝動買いをする前に、そういった現実的な余裕があるかどうかも考える必要があります。
しつける自信があるだけじゃダメ
私は売れ残りワンコを迎え入れたのは、初めてではありません。
実家で暮らしている頃、初代のワンコが他界し、しばらくしてからのことです。母と電話で話をしていたら、けたたましい犬の吠える声が聞こえます。
父と母は掃除用具を買いにホームセンターへ行っていたはずです。そこで初代ワンコと同じ犬種の子が売れ残っていて、そのまま買ってきたのです。
「こんなに大きくなってかわいそう」と…父も母も幼い頃から犬と暮らしてきたので、犬を迎え入れることに何も抵抗がない家でした。
体が小さく、毛色が濃いもじゃもじゃの1歳の犬は、何一つ通用しないワンコでした。
●ケージから出てこない
しばらくは、怖がってケージから出てきませんでした。その後、慣れても眠るときや一人の時はケージの中にこもってしまいます。最初のうちはとても臆病でした。
●トイレができない
トイレができないというより、コミュニケーションが取れないので、トイレトレーニングができませんでした。目を見る、触る、ということすらしばらく困難だったので、外でするようになりました。
●触ると唸る
お腹を触ったり抱こうとすると、唸って暴れます。彼が自ら来るまで触ることはできません。触ると怒って暴れまわります。こればかりは、どうしようもありませんでした。
私たちは、しつけや犬との生活にそれほど神経質になったことはありません。しかしこの子だけはなかなか大変でした。
一般的な「犬との生活」からはかけ離れています。一緒に遊んだり、ソファでくつろいだりできるようになるまで1年以上かかっています。
他にも、手のひらを見せたり、腕をあげると攻撃的になります。叩かれたり、よくない扱いを受けていたのかもしれません。
普通のしつけでは「吠えてはいけない」と教えますが、それより「吠えても噛んでも、あなたを攻撃しない」と伝える方が大切でした。
満足できるご飯と運動を与え、ここが安心できる場所だと伝えることからスタートするので、犬を飼うということの本質を教えてくれた時間でした。
受け入れることから始めよう
問題行動は私が経験した状態より、軽いかもしれません。でも、もっと大変なケースもあります。ワンちゃんの性格によって全く変わってきます。
もし、売れ残っているワンちゃんを購入しようと思ったら、その子が失った子犬時代も一緒に受け入れてあげてください。十分な愛情を与えてもらっていない時期があったことを、なかったことにはできません。
幼少期にしっかりと人と触れ合っていないと、迎え入れても最初のうちは大変なことも多いものです。可愛い、愛らしい、だけでなく、できないことや、問題行動も受け入れて家族にしてあげてください。
もし、迷っている方がいたら…
売れ残りのワンちゃんは問題行動などもあるとお話ししてきましたが、実際迷っている方に本当の魅力をお伝えします。
まだまだ子犬です
6ヶ月なので子犬じゃありません、これはペットショップが勝手に決めたことです。パピーの時のご飯は小型犬で8ヶ月ごろ、大型犬だと1年半ごろまで与えます。
この時期の間は「体が子供」です。さらに、2歳頃までは分別がつかない「心が子供」な様子はよく見ます。売れ残っていてもまだまだ子供です。愛情深く接すれば、驚くほど優秀ワンコになることもあります。
毛色や柄は個性
毛色や柄が良くなくて売れ残ることも多くありますが、ただ個性的な犬なだけです。犬仲間ができると、その個性をたくさん褒めてもらえます。
一部の業界を除いて、毛色や柄で犬の素質は決まりません。個性的なワンコと出会えることは、とても幸せなことです。
できないワンコほど可愛い
覚えがよくお利口さんなワンちゃんはとても可愛いですよね。でも、色々期待を裏切ったり、なかなか懐かないワンちゃんが、時間をかけて家族になってくれると深い絆を感じます。
さらに育てていく中で、良い犬になるように、幸せになるようにと様々なことを調べたり勉強するきっかけをくれます。
【参考】犬のしつけの重要ポイント@愛犬は褒めて伸ばそう!
まとめ
たくさん展示される生体販売の現場では、人が勝手に区別して売れ残りを出してしまいます。「可愛い」「綺麗」という選び方から卒業しないと、いつまでも売れ残りコーナーはなくなりません。
売れ残りワンコは在庫処分のいらないワンコではないですよね。
私たち愛犬家は、隅に追いやられているワンコ達のことや、今ガラスケースで売られている子犬が売れ残りにならないように考えていくことが、これからとても重要なことだと感じています。