犬の習性を生かした使役犬@猟犬・警察犬・プリズンドッグなど働く犬の話
犬は嗅覚や学習能力に大変優れています。犬と暮らしている皆さんはその素晴らしさに日々触れ合っていることと思います。
そんな素晴らしい能力を活かして、ワンコたちは訓練に励み、心に残る活躍を見せてくれています。今回は使役犬として頑張るワンちゃんたちをご紹介します。
使役犬を通して犬の素晴らしさを知る
ワンコは頭の良さと嗅覚、俊敏な動きで、世界中で人のために働いています。「使役犬」とも呼ばれ、その役割は様々です。最初は、彼らはどうしたらこんなに頭が良いのだろう…どんな躾をしているんだろう…そう思ったのが興味の始まりでした。
調べていくと、使役犬として写真に収まっている子たちはリラックスしている時はみんな笑顔でいます。使役犬たちは押さえつけられて無理に働かされているわけではありません。犬の習性を良く知り、理解して仕事をさせることが最も大切です。
ワンコと暮らしている方も、今はいない方も、これからお迎えする方も、ぜひ働くワンコを通して犬の素晴らしさを感じてください。
猟犬は強い絆で働くワンコ
我が家のボス(旦那)の実家は猟友会に入っています。昔から猟犬を飼っており、義父は目が悪くなり鉄砲をやめました。庭には大きな犬小屋が今もあります。
猟犬に対しては様々な意見があり、猟犬が誘拐されたり遺棄されたりする事件もあります。さらに、猟犬になれる犬は限られているので馴染みの薄い方も多い世界です。
素質のようなものや、猟師さんとの相性があり、ブリーダーさんと相談しながらパートナーを決めます。一番可愛い子犬の時はブリーダーさんや訓練所で訓練を受け、その後は猟師さんのパートナーとして、日々訓練を受けていきます。
その様子は、山の中で離れて動くので、強い絆と信頼関係に結ばれています。愛玩犬とはだいぶ違う接し方に感じました。
獲物のヤマドリなどを食べてしまわないように、日頃のご飯で鳥を与えない、運動量に応じたご飯の調節などを行なっています。我が家の愛犬は鶏肉大好き、おやつ大好きなので見習って欲しいくらいです。
飼い主である猟師さんを信頼しているからこそ、ストイックな訓練や生活が成り立っています。義父の話を聞くと、可愛がるのではなく、本能を引き出し、深い絆で結ばれる飼育方法が猟犬の育て方です。
ちなみに、義父が猟を引退して、トイプードルを飼った時、「本当にこいつは可愛いなあ…」とベタベタでした。心から犬という種を好きな人間だけが、猟犬を扱えるのだと感じました。
パートアルバイトの警察犬
警察犬といえば、立派なシェパードなどを想像しますよね。現在では「嘱託警察犬」という形で、様々なワンコが活躍しています。要請があれば出動するので、正社員ではなく、パートアルバイトのイメージかもしれませんね。
プードルやコーギーが訓練に合格しているニュースは多く目にするようになりました。現在警察犬の9割は嘱託犬となっています。
警察犬になるには、初級から高等まで訓練し、1年に1度の審査会にて成績を競います。大変狭き門なので、あまり頻繁には警察犬には出会いません。
ところで、お散歩していると、お家の門に「警察犬」という黒とシルバーのステッカーを見かけたことはありませんか?社団法人日本警察犬協会に入会すると、このステッカーをもらえます。
会員になると愛犬とイベントに参加できたりする特典があります。興味がある方はぜひ問い合わせてみましょう。
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プリズンドッグという存在
私がプリズンドッグを知ったのは千葉の少年院で行われている矯正教育プログラム「GmaC」の活動でした。
アメリカなどでは再犯率の低下に効果を上げている注目のプログラムだそうです。一度はつまづいたり、自分一人では立ち向かえない環境で入所をした少年たちが、犬との生活を通し、更生していく様は、犬の素晴らしさを実感せざるおえません。
1期4ヶ月ほどで4匹ほどが紹介されているので、たくさんの犬や少年が参加しているわけではありません。さらに、ここで活躍するワンちゃんは、可愛いパピーではなく、保護犬です。
一定期間、少年たちと暮らし、適切な環境で愛情や躾を受けた後、一般家庭へゆずりわたされます。動物介在矯正教育を通じて、少年たちの自己肯定感を高めるこの活動は、2014年からスタートしたまだまだ新しいプログラムです。
今後の普及や発展に大きく期待したい活動ですね。
地方独特の悩みを解決する犬
ワンコは探し物の天才です。そんな優れた嗅覚を生かして世界中で犬が活躍しています。日本屈指のリゾート地、沖縄にも働くワンコがいます、「マングース駆除犬」です。
沖縄ではハブの対策としてマングースを放ちました。しかし、マングースが増えすぎて、山林で天然記念物の動物を襲うなどの現象が起きてしまいました。そんなマングースを退治するのが「マングース駆除犬」です。
ニュージーランドでの導入例を参考に、ニュージーランド環境保全省が定めた探索犬認定試験に合格した犬たち、シェパードやテリアミックスが活躍をしています。
マングースがいる場所を見つけ出し、捕獲するための罠の設置場所を見つける、または、実際に罠に追い込む仕事をしています。探索犬とハンドラーさんの数がまだ十分ではなく、現在も育成に力を入れています。
門戸が開かれた使役犬への道
お仕事をしている犬「使役犬」は大型犬が多くいます。人と一緒に働く上で体力が必要なので、大きな犬がふさわしいとされてきました。
しかし、仕事の内容によっては、小型犬やミックス犬も活躍することがでいます。最近では保護犬が使役犬に登用されるケースも多くなっています。
使役犬として訓練する過程が厳しい、かわいそう、という声が稀にあります。訓練をするハンドラーさん、訓練士さんはプロとして犬に向き合い、犬の習性や健康のことをしっかり勉強されています。
お仕事をしている犬は、日頃の訓練や生活を通してハンドラーさんと強い絆で結ばれています。お仕事に集中できるように、町やいろいろな場面で出会ったら優しく見守ってあげましょう。
まとめ
働く犬は嗅覚、頭脳、習性を生かした高度な訓練を受け、人間のために働いてくれています。今回紹介した以外にも、世界中でユニークな仕事をしているワンちゃんがたくさんいます。
使役犬が社会の一員として大切にされる時代になってきました。しかし、まだまだ、公共のスペースで出会うとびっくりする方も多くいらっしゃいます。ぜひ、働くワンコがもっとのびのび活躍できる社会ににしていきたいですね。