犬のサマーカットは必要?やる前にデメリットを知っておこう
暑い夏、毛皮で覆われている愛犬を見て「暑そうだな」「可哀想だな」と思う飼い主さんは多いと思います。特に長毛種と呼ばれる毛の長い犬は特に暑そうですよね。この時期、犬の美容室ではご愛犬にサマーカットを勧めるお店も多いのではないでしょうか?
今回は、サマーカットのデメリットを踏まえて、本当に愛犬にサマーカットが必要なのかをお話しします。なお、ここでは一般的にカットが必要とされる犬種(プードルなど)はもちろん除きます。
ロングコートチワワのサマーカットの事例
サマーカットと言えばまず思い浮かぶのが、ロングコートチワワのサマーカットではないでしょうか?チワワには毛の長いタイプであるロングコートチワワと、毛の短いタイプであるスムースコートチワワの2種類がいます。
ロングの仔は、確かに真夏はスムースの仔よりも暑そうにしています。しかし、本当にロングコートの仔をカットしてしまって良いのでしょうか?
ロングコートチワワのサマーカットにおけるデメリットについて
ロングコートチワワは、なぜ「ロングコート」で産まれてくるのでしょう?当たり前のようですが、毛が長い状態で生きて行くために、そのような形状で産まれてくるのです。
これを無理にカットして、短くすると次のようなことが起こります。
■ホルモンバランスが崩れることがある
科学的根拠は無いようですが、ホルモンバランスの崩れにより、毛質が大幅に変わってしまったり、生えて来なくなってしまう可能性があります。
■温度調整ができなくなる
もともと毛が長い状態で温度調節をしている犬が、いきなり短くされるとそれができなくなり、体調を崩す場合があります。毛長の仔が短くカットをしたからと言って、体温が低くなったり風通しが良くなったりと言う変化はあまり期待できません。
■紫外線や直射日光に当たることになる
カットする長さにもよるでしょうが、短くし過ぎると皮膚が露出する状態になります。その状態で、外出した場合紫外線に直接あたってしまったり、日光にも直接当たることになり危険です。
ある保護犬のお話
サマーカットに対するデメリットをお伝えしましたが、ここであるお話をさせていただこうと思います。サマーカットが犬に与える影響の話ではなく、考え方のお話です。
あるワンちゃんが、飼い主さんの都合により、手放されることになりました。幸い新しい飼い主さんがすぐに見つかり、引き取られることになりました。新しい飼い主さんは、とても優しく家族全員がその仔の仲間入りを大変喜んでいました。
しかし、そのワンちゃんは元々大変賢く、気を使う・場の空気を読める仔でしたので、その仔自身も自分がどうすれば気に入ってもらえるのかをずっと考えて行動していたのか、どこか遠慮がちだったそうです。
新しい飼い主さんのご家族は、犬が好きでしたが飼うのは初めてでした。ですので、ドッグフードは何を与えれば良いのか、犬を飼うのに何が必要なのか、お散歩はどれくらいすればいいのか?など、何も知りませんでした。
ですが、犬を飼っていらっしゃるご近所の方が、ひとつひとつ丁寧に教えてくれました。
ある日、ご家族はその仔が家にやってきて初めて犬の美容室に行きました。そこで、おそらくサマーカットを勧められたのでしょう。その仔はカットが必要ない犬種でしたが、そんなことを知らない飼い主さんはご愛犬を暑そうに思って、サマーカットをお願いしたのです。
ここで、デメリットのことを考えますと、サマーカットをする前に何故ご近所の方に相談しなかったのか?と思ってしまいます。しかし、サマーカットを終えたワンちゃんのお顔は今まで見たことが無いほどの笑顔だったのです。
おそらく、サマーカットがとても似合っていて、飼い主さんがご愛犬を見て大喜びし、可愛い可愛いと笑顔になったからだと思うのです。いつも可愛がってくれているけど、なんだか今日はみんな僕を見てとても幸せそうだと、ワンちゃんも嬉しかったのでしょう。
まとめ
トリミング・カットが必要ない犬種に、サマーカットをすることは時としてリスクを背負う場合もあります。デメリットのことも述べました。しかし、上記でお話しした保護犬のように、サマーカットがきっかけでご家族とご愛犬の絆がより深いものになるのであれば、別に良いのではないかと思うのです。
愛犬は自分の希望を話したり、自分で美容室に行くことはできません。決めるのは飼い主であるあなたです。昨今、愛犬に毛染めやネイルを施術するサロンも増えて来ましたが、愛犬には、生きて行く上でこれらは必要ありません。
愛犬のサマーカットに対しても、快適な夏を過ごさせるというよりは、カラーリングやネイルアートのように、ファッション的要素が強いと思います。
サマーカットをした場合のデメリットをきちんと理解した上で、信頼できるトリマーさんにお願いして愛犬のサマーカットを楽しむようにしてください。