「特定危険犬種」という悲しいジャンル【茨城県の条例に思うこと】
「特定危険犬種」という言葉を愛犬家の方は聞いたことがあるかもしれません。海外の話だと思いきや、日本のある地域では明確に指定されています。
今、責任ある飼育が求められ、飼い主さんの資質が問われる問題が多くあります。今回は「茨城県の特定危険犬種の条例」についてご紹介します。
日本のある地域の特定危険犬種について
- 紀州犬
- 土佐犬
- 秋田犬
- ドーベルマン
- シェパード
- セントバーナード
- グレートデン
- アメリカンスタッフォードシャーテリア
このわんこたちのラインナップを見て、愛犬家の皆さんはどう感じましたか?
どの子も頭の良い、心優しい子たちばかりです。警察犬などの仕事を持つ働き者わんことしても有名です。
今ここにあげた犬たちは「人に被害を及ぼす」と思われ、茨城県では特定危険犬種に指定されています。
茨城県の「危険な犬」への条例
茨城県は条例で上記の犬を飼う時は以下のように規制されています。
- 「特定犬」のシールを見やすい場所に貼ること
- 檻の中で飼うこと
檻は、上下四方が囲われているもの、十分な強度を持っているもの、人に危害を加えられない構造になっていること、となっています。サークルも室内飼いもダメということです。
「特定危険犬種」という指定は、その犬が凶暴で愛玩犬のように飼育してはいけないというように聞こえます。犬を写真のような檻がついた小屋に閉じ込めて、または繋いで飼育することに、愛犬家の私たちはどう感じますか?
もし、十分なケアがなされていないのなら、それは虐待のように感じます。私は犬の資格を持っていません。なので、プロの見解ではありません。
しかし、暑い日も寒い日も、もしお友達のワンちゃんがお外にいるとしたら…それを県が決めているから、そうせざるおえない環境なら、違和感をぬぐえません。
私の知り合いは大型犬を2匹飼っています。噂には聞いていましたが、やはり家の壁は穴が空き、ドアノブがなくなり、網戸がなくなり…しかし、とても賢くレスキュードッグのお教室に通っています。
お散歩以外にも仕事が終わるとドッグランや河原で遊ばせるそうです。本当に大変で飼い主さんも体力が必要だと感じました。しっかりと犬と向き合い、適切なケアをしているその子たちも茨城県からすれば「危険な存在」と言われると思うととても悲しくなります。
茨城県が考える犬の飼い方に対して
特定危険犬種に関しては賛否があります。やはり大きい犬は怖いという意見、実際に大きい子が事故を起こしているという事実などから妥当という見方もあります。
屋外で飼うことは決して悪いことではありません。昔から大型犬や猟犬はお庭などで飼われてきました。実際、屋外用の犬小屋は需要が高く、メーカーも多くのタイプを販売しています。
屋外でも、屋内でも飼育方法にはメリットとデメリットがあります。屋外で飼う場合、一番の問題点は「飼い主さんとの距離が遠くなる」ことです。
愛犬たちはペタッと飼い主さんにくっついて、目を見て一生懸命言うことを理解しようとしませんか?群のボスであり一緒に暮らす家族と思っているからです。
お外で飼っていると、飼い主のことをボスだと判断しづらいことがあるようです。そのため、吠えたり、問題行動を起こすことがあるようです。屋外で飼育していてもしっかりケアをしていて、「それは違うよ」と言う飼い主さんもたくさんいらっしゃるはずです。
しかし、ケアや丁寧な飼育を推奨せず、ただ屋外で閉じ込めて飼育をすることを指導する茨城県には疑問しか感じません。
無責任な飼い主を減らす手助けになっているか
大きな小屋を設置するように決め、特定危険犬種と言う呼び名でくくり大型犬を飼育するハードルをあげれば捨てられたり悲しい思いをする犬は減るのでしょうか?
茨城県の殺処分数はどんどん減ってきています。しかし、他の県と比べてワーストのランキングにいるのは間違いありません。
大切なことは、隔離して距離を取るのではなく、よく学び理解することではないでしょうか?大きなワンちゃんを飼っている私の知り合いや友人は、例外なく、よく犬について勉強し、理解しています。
皆口をそろえるのが、大きいからきちんとコントロールをしないと怪我をしたり迷惑がかかるという点です。大きい子達は、飼い主さんだけではなく、プロのトレーナーさんなどと一緒にしっかりとしたしつけをしている方がたくさんいます。
我が家の愛犬はチビですが、大きなワンちゃんが大好きです。ドッグランに行くと大きなワンちゃんのところにまっすぐ飛んでいきます。大きな犬は、一緒に走る時も手加減をしてくれたり、プロレス遊びの時も気を使ってくれることが多いです。吠えられたことも噛まれたこともありません。
何より、飼い主さんが犬のことを本当によく理解しています。私は本当に勉強不足だなと思うことがいっぱいあります。しつけのこと、犬のくせや性質のこと、トラブルや病気のことをよくご存知の方が本当に多いです。「犬を知ることが、良い犬を育てる」とみなさんを通じて実感します。
犬を飼う心構え
茨城県の「特定危険犬種の飼い方」を知り、ぜひ改めて犬と向き合ってほしいと思います。本当にこの子たちだけが危険なのでしょうか?
人にとって噛む、吠えるなどの行為をするには必ず理由があります。恐怖を感じたりパニックになったり、犬が冷静でいられない状況がそうさせることが多々あります。
小さい子でも吠えたり噛んだりする子は大勢います。しかし圧倒的に大型犬が同じ状況を起こした時、リスクが高くなる、だから飼い主さんはワンちゃんを守るために勉強をしきちんとしたしつけをしています。
小さい子も大きい子も、必ずしつけは必要です。しつけ教室はたくさんあるので選ぶのが難しい場合は、ブリーダーさんや担当の獣医さんに相談してみてください。体格や年齢、性質などによって的確なしつけ方法を行わなければいけないので、まずはプロに相談してみましょう。
特定危険犬種は危険ではない、と私は実感しています。しかし、1点だけ自分の愛犬のルーツを知っておくのはワンちゃんと向き合うためにはとても大切なことです。
我が家は「フレンチブルドッグ」と「ダックスフント」のミックスです。どちらも猟犬なのでしつこいような一面があります。犬種によって性格や性質が違うことは事実です。その点とよく向き合い理解すると、より素敵な魅力に気づくこともできます。
例えば、フレンチブルドッグ系はとても顎が強く、噛む力が強いです。噛んではいけないとしつけすることで、噛まずに我慢をしている姿や思わず噛んでしまってハッとして自ら口を離す様子を見ていると本当に賢い犬種だと感心します。
まとめ
ワンちゃんはみんな心があります。群れとなり家族となり、優しいパートナーになってくれます。怖いから、危ないからという理由で閉じ込めたり繋いだりすることは、問題解決にはなりません。
犬と真摯に向き合って、犬のことをよく勉強していくと解決できる問題はたくさんあります。犬と人が幸せに共存できる方法を、今一度見直す社会になってほしいですね。