小さな犬の膝蓋骨脱臼の治療方法・症状・予防方法
犬をはじめ、生き物を飼っているとずっと健康でいるわけではありません。時には怪我をしたり病気をしたりするでしょう。
しかし、そのことを不安に思うのではなく、自分の飼っている犬がどんな病気になりやすいのか、どういう怪我に気を付ければ良いのか、どんな症状が出れば病院に駆け込めばいいのかなどを知っておくと、いざというときに慌てずに対処できます。
今回は、小型犬に多い「膝蓋骨脱臼」についてお話します。今大丈夫でもいずれ発症するかもしれないので、今のうちからきちんと対策をしておきましょう。
どんな症状なの?
この疾患は、「しつがいこつだっきゅう」と読みます。文字どおり膝のお皿である「膝蓋骨」がずれる、外れることを言います。もともと小型犬に多い疾患ですが、先天性のものと後天性のものがあるんですね。
先天性のものは、遺伝によるものがおおく、父犬や母犬に膝蓋骨脱臼がある場合はたいてい遺伝します。私たち人間にも、足の膝にお皿と呼ばれる骨がありますよね。これが怪我によりずれてしまうと歩けなくってしまうんです。犬も同じで、この部分にトラブルが起こると歩けなくなります。
後天性の場合は、怪我や事故などで筋が切れてしまい、それによって膝蓋骨がずれてしまいます。
膝蓋骨脱臼は、程度をレベルに分けて診断されます。グレードと呼ばれるレベルに分類され、グレード0~1が正常、2~3が要注意、4以上になると手術を勧められます。医師によっては3以上は手術対象とみなす獣医さんもいるくらいです。
グレードの低い仔は、もし骨がずれても、自分で足を伸ばしてズレを治す仔もいますが、急に症状が出た場合は、足を上げてびっこを引いて歩いたり、足をあげたまま動かなくなったり、悲鳴をあげて座り込んだりします。
膝を触って、膝蓋骨が外れやすいかどうか見極めることもありますが、素人が行うと悪化させてしまうこともあるので、やめましょう。
治療法はあるの?
この疾患は、内科的治療では治すことはできません。膝蓋骨が完全に外れてしまった場合は、手術を行い治療します。手術方法は色々ありますが、この疾患の場合はかかりつけの獣医さんにお願いするより、専門医に手術してもらうことをお勧めします。
小型犬にとても多い疾患ですが、手術の成功率自体が一般的に高くありません。きちんと処置しないと再発する可能性が高いからです。小さな体に何度も麻酔をかけたり、メスを入れたりするのはよくありませんので、専門の先生に診てもらいましょう。
膝蓋骨脱臼を起こさないようにするには
膝の病気ですので、生活環境に気を付けてあげるのが一番です。滑りやすいフローリングの床には、滑り止めを塗る・コルク板を敷き詰めるなどの工夫が重要です。
また、高いところからジャンプしたりするのも脱臼の原因になります。しつけでさせないようにするか、犬用のステップクッション(階段状になったクッション)なども売っていますので、それを置くなどして予防します。
カーペットなどは滑りはしませんが、毛あしの長いタイプのカーペットは、足の爪をひっかけて転ぶことがよくあるため変えた方が良いですね。急な方向転換で膝を痛める仔も多いので注意してください。
それから今すぐ手術が必要なわけではないが、弱いと言われた仔については、膝の周りの筋肉を鍛えるため運動量を増やしたり、足の曲げ伸ばしなどのリハビリやマッサージも効果があります。
サプリメントでは、コンドロイチンやグルコサミンなどを与えると良いでしょう。犬用のおやつで、サメの軟骨ジャーキーが売っていますが、コンドロイチンを多く含んでいるので、おススメですよ。
なお、当然ですが肥満は大敵です。体重が重いと、その分足腰に負担がかかります。小型犬で、膝を注意するように言われている仔は特に太らせないように注意しましょう。
今太ってしまっている仔は、年を重ねるごとに痩せにくくなってしまいますので、早く適正体重に戻してあげるよう飼い主さんが努力をしなくてはいけません。
まとめ
小型犬の膝蓋骨脱臼は、本当に多い疾患です。一度起こすととても痛いので、飼い主さんも見ていて心苦しいと思います。予防できることはきちんと予防し、もしなってしまったらすぐに専門医に相談することが大切です。
しかし、膝蓋骨脱臼は、病気というよりは怪我にあたります。脱臼したからといって、すぐに命にかかわるわけではありません。飼い主さんが落ち着いて、適切な処置をしてあげることが早く治す秘訣です。