犬を多頭飼いするメリットやデメリット【疑問・不安をQ&A形式でまとめてみた】
最近、犬の家族が増えたという話を聞くことが多くなってきました。既にご愛犬と生活なさっておられる方が、2頭目・3頭目を迎えるという報告をよく耳にするのです。
もちろん、1頭だけを大切に育てていらっしゃる飼い主様は素晴らしいと思いますし、その仔だけに愛情を注ぎたいという思いは本当に素敵なことですよね。
しかし、「複数でたわむれているところを見たい」とか「もう1匹飼ってみたい」と思われることもごくごく自然なことだと思います。1匹だけ飼育されている方、複数頭飼われている方、それぞれメリットデメリットがあります。
私は、チワワを6匹飼育しています。そのおかげか、多頭飼い初心者の方、多頭飼いを始めようと思っている方からご相談を頂くことがあります。伺っていますと、皆さんだいたい同じような悩みを抱えていらっしゃることがわかりました。今回はそんな経験から多頭飼いライフについてお伝えします。
多頭飼いのメリットとデメリット
犬は本来群れをなして生活していた生き物です。ですから、「犬の家族」という群れを作ってやることは、犬の精神的にも非常に良いとされています。また、思い当たる方もいらっしゃると思いますが、最初の仔についてはトイレトレーニングや、その他躾に苦労された方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
でも、2匹目・3匹目についてはさほど大変ではなかったのでは?上の仔が下の仔に教えていませんでしたか?もちろん全てがそうとは限りませんが、最初の仔ほどしつけた覚えが無いという方が多いのも事実です。
これは多頭飼いの最大のメリットで、最初の仔いわゆる先住犬が新参犬を仲間と認めると、色々なことを教えてくれるのです。
一方、デメリットですがこれは単純に、飼育費用が倍かかるということになります。医療費や食費、雑費は当然頭数分かかります(他のことは後ほど解説)。しかし、飼い主さんの考え一つでデメリットで無くなることばかりです。
多頭飼いをする前・した後で気になる疑問・不安Q&A
ここでは私がよく頂くご相談と、その解決法・ご提案をお話します。
Q1.先住犬は、とっても犬嫌い。仲良くなれなかったらどうしよう?
このお悩みは多くの方が抱いておられる心配です。しかし、案ずるより産むがやすしなところもあるんですよ。ちょっと自分に置き換えて考えてみてください。
例えば、自分の両親がある日突然よその子供を連れてきて、「今日から家族よ」と言われたところで「はいそうですか」と受け入れることができますか?できないですよね?わんちゃんにも同じことが言えるのではないでしょうか?
自分の生活スタイルに急に入って来られるのです。そりゃ驚きますよね。ですので、急に仲良くさせようとせず、お互いの距離感をよく見てあげてください。
先住犬はもちろん最初はわけがわかりませんが、新しくやって来た仔だって同様に不安でいっぱいなのです。もちろん相性もありますから、その日から急に意気投合して…ということもあります。
しかし、たいていは警戒して邪魔者扱いします。それは意地悪ではなく、受け入れるための準備であると考えてください。
ただし、犬の場合は人と違って受け入れるのはわりと早いと思います。互いが仲間と認め合ったら、例え小さなことでも構いませんので、思い切り褒めてあげましょう。
Q2.多頭飼いすると愛情が分散するのでは?
これも非常によく頂くご質問です。1頭だけのときは、その仔だけを可愛がっていたけど別の仔を迎えたら愛情が分散してしまうので心配だと言うことです。
では、愛情の分散って一体なんでしょう?分散するということは、上限があるものを小分けにするということです。愛情には上限があるのでしょうか?そう考えたら気が楽になるはずです。
生きとし生けるもの、皆平等に1日は24時間しか与えられていません。ですから、確かに1匹1匹にかける「時間」は分散されてしまうでしょう。
しかし、その分密な愛情を注げばいいのです。限られた時間をどのように過ごすのかは飼い主さんが決めることです。愛情の分散と思わずに、愛情の濃縮と思うようにすれば良いでしょう。
Q3.多頭飼いすることで今より大変になりそうで心配
よく、「1匹でも大変なのに」と躊躇される方がいらっしゃいます。はっきり言って、そのように思われる方には多頭飼いはお勧めしません。
1匹で大変だと感じられているのであれば、ご不安のとおり、2匹になると、その飼い主さんにとってはもっと大変になるからです。
多頭飼いするかどうかは、あくまでも飼い主さんが決めることです。犬が多頭飼いしてほしいと言うわけではありません。1匹飼ってみて、もう1匹お世話できそうだと思われる方にはお勧めしますが、犬にとっては飼い主さんと過ごすことが一番重要であり、仲間が増えること自体は別にどちらでも良いのです。
Q4.去勢や避妊はどうすれば良い?
先住犬と新しく迎えた仔の性別が違う場合で、未避妊・未去勢の場合は当然妊娠する可能性があります。犬には心はありますが、理性はありません。子孫を残したいという意識は生まれつき備わっているわけですから、望まない妊娠を防ぐためにはきちんと対策をしなければいけません。
どちらか片方を避妊・去勢するか、雌犬の発情中は完全に隔離できる環境を作るかしなければなりません。また、犬の繁殖能力は非常に高くゲージ越しでもかかってしまう場合があります。別の性別の仔を迎える場合は、迎える前にきちんと手立てを考えましょう。
Q5.多頭飼いを始めてからいじけるようになった気がします
気のせいか、上の仔もしくは下の仔が拗ねている気がします。これもよくある事例です。犬は非常に繊細で敏感な生き物です。
我が家も経験済みですが、ある時一番上の仔が足を怪我してしまい、数日安静にしなくてはなりませんでした。こんなことは初めてでしたので、家族全員が上の仔を心配しみんなで構ってしまったのです。
ふと2番目の仔をみると、なんと足を引きずっているではありませんか!びっくりして病院に連れて行くと、どこも悪くなく彼女の演技であることがわかりました。
この時は2番目の仔は1番目の仔が足を痛めたため可愛がってもらっているのだと判断し、そのマネをして家族の気を引こうとしたのです。これには私達も大変反省し、それ以後は上の仔についてあまり構わないようにし、ひたすら安静にさせました。
我が家では、日替わりで「贔屓(ひいき)デー」というのを設けています。その日は、1匹だけを他の仔にもわかるように贔屓するのです。
他の仔にわざと見せつけるようにするのが実はポイントです。注意すべき点は、贔屓デーと贔屓デーの間をあまりあけないということです。そうでないと、単なる贔屓になってしまうからです。
間をあけずに次々と別の仔を贔屓することで、「自分も特別な存在なんだ。あの仔だけが贔屓されているわけではない」と理解してくれ、ひがんだりいじけたりしなくなります。
多頭飼いを成功させるポイントは順番を守ること
多頭飼いを成功させる重要なポイントは、順序を守るということです。ご飯やおやつをあげるとき、お散歩の準備をするとき、全ての事は必ず先住順に行います。先程も述べましたように、犬は群れをなす生き物です。ですので、絶対的なリーダーが必要です。リーダーはもちろん飼い主さんです。
また、序列を大切にする動物ですので、リーダーがきちんと順位を守っておこなうことに犬は安心するのです。誰の指示を聞いていいのかわからない、順番がわからない状態は犬にとって非常にストレスになります。
まとめ
色々なポイントや事例を述べましたが、どれも「正解」や「不正解」はありません。ご家庭によって飼育状況も違いますし、ルールも違います。
一番大切なのは、決めつけない・かつ、ご自身のポリシーをきちんと把握し、自分だけの多頭ライフを築くことです。他人の言うことを参考にするのは構いませんが、アドバイスジプシーになってしまっては犬も迷います。
なによりご自身がノイローゼになってしまいます。色々な方のお話を聞いて、やってみようと思うことは実行すればいいし、そこで失敗しても「うちには合わなかった」と思えば良いのです。ご縁あって来てくれた我が子達。みんな違ってみんな良いのです。