暴力を振るっていじめていた犬から優しさを教えられた
我が家で飼っている犬は雑種のオスで、名前はこうたろうと言います。愛犬のことで、一番思い出に残っているエピソードは、いじめていたにも関わらず、散歩中に逃げたのに戻ってきてくれたことです。
こうたろうを飼い始めたのは私が中学生の頃で、そのとき彼はまだ2か月の子犬でした。飼った当初はとても可愛がり、一緒に寝ることもある位に仲良くしていました。ただ、私の家は家庭環境が悪かったんです。毎日のように親から嫌味を言われて、受験勉強や成績のことでも叱られるも多く、常にイライラしていました。
家のことでイライラしたうっぷんを愛犬にぶつける
高校生になると成績がさらに下がり、両親とは毎日ケンカばかりしていました。本当に腹が立っていたので、物に当たることも多く、その矛先はこうたろうにも向かいました。
親から暴力を振るわれたときは同じようにこうたろうに暴力をふるい、嫌がらせをされた時は水をかけたり餌を取り上げたりして、こうたろうが嫌がる様子を見て楽しんでいました。20代後半になった今この事を考えると「なんて最低最悪でひどいことをしていたのだろうか」と深く反省していますが、、当時はそんな事を考えずにお構いなしにいじめていました。
こんな風だったので、私はこうたろうを2年以上散歩にも連れて行きませんでした。ただ、私が20歳になったある日のこと、思いつきで散歩に連れて行こうと思い、こうたろうを連れて公園へでかけました。
散歩中に首輪が取れてしまい走りだす愛犬
そして、近所の公園に連れて行った時、首輪が抜けてしまい、こうたろうは走って逃げ出したんです!人を噛む犬だったので「誰かに怪我をさせたら、どうしよう…」と本当に焦りました。
それにもし、私がこうたろうだったら「最低最悪な飼い主から逃げられて、これからは自由に暮らせる。ラッキー!」と思って、全力で逃げるでしょう。そのくらいひどいことを私はしてきました。
しかし、こうたろうは公園の中を思いっきり走って公園を一回りすると、逃げずに私の前に戻ってきたんです。まるで、「また首輪を付けて」と言っているかのように、私の前でしっぽを振って「お座り」をしました。
もしも、私があんな嫌がらせをされたら絶対に許せないと思いますが、それでもまだ子犬の時のように慕ってくれたんです。そんなこうたろうを見て、自分のやってきた事を反省し、こうたろうと仲良かった頃の事を思い出しました。
私は親を恨んでいましたが、こうたろうは恨まずに私を慕ってくれたことがわかり、それがきっかけで優しさを学びました。そのとき、私は膝をついて泣いていました…。
それ以来、こうたろうに対する接し方を変え、週に3回は散歩に連れて行き、暴力を振るう代わりに頭をなぜてあげるようにしたんです。このことがきっかけで、粗暴だった私の性格は丸くなり物や動物を大切にして優しく接する事ができるようになっていきました。
「優しさ」を教えてくれたこうたろうには、心から感謝しています。